双方の行為 

福音朗読は Laudate | 教会カレンダー (ヨハネ3章16-18節)

 

  キリスト教カトリックプロテスタント聖公会正教会)の世界では、「三位一体」は共通の考えであり、中心的な信条です。三位一体というのは、順番づけることではありません。それは、父とひとり子と聖霊の交流であり、愛の絆による相互の交わりなのです。

   一つの例を挙げてみましょう。「私はいちごを愛している」と言えるでしょうか。それは、好みであって愛ではありません。この場合、相手がいないので、一方的で自己中心的な見方となるのです。愛は二人になってから、はじめて誕生します。

  愛には受ける側の反応もあります。注がれている愛を認識し、喜びを感じる双方向の行為ということができます。しかし、互いだけを見つめて、周囲を無視したり二人の世界に閉じこもったりするなら、やがてその愛は自己中心的なものになってしまいます。本当の愛が生き生きと豊かに流れていくためには、自己中心性を破る三人目が必要なのです。

   この愛の道理は、信仰生活にも当てはまります。ひとりと神との関係だけにとどまるのではなく、交わりに与り、生きるために隣人との絆も欠かせません。つまり、人生の道を歩みながら、多くの人たちと交わり、語り合い、そして助け合うことが必要なのです。

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聖霊と私たち

書簡朗読は Laudate | 教会カレンダー (第1コリントの教会への手紙 12章3b~7、12~13節)

   外国で暮らしている宣教師として、私は「言語」と「ことば」に関する特別な関係を毎日経験しています。この特別な状況の中で、日本語という「言語」を用いた日常の経験から感じたことや得たものは数え切れません。また、「言語」が伝える「ことば」は、実に不思議な力を持っています。たった一つの「ことば」が人に安心や不安を与え、また一つの誓いや約束が、人生を左右するものとなるからです。

   少し大胆に思われるかもしれませんが、私たちにできることがあります。聖霊の道具になって、助言をし、慰めと希望の「ことば」をかけることです。必要としている人に「安心して。一人ではないよ」や「そばにいてくれてありがとう」など、私たちの口からでてくる「ことば」は聖霊の炎のように相手の心の耳に入るのです

   聖霊には、もう一つの不思議な業があります。聖霊は様々な贈り物を与えることによって、一人ひとりを特別な存在にしてくださるのです。贈り物をいただいた人は、自分のためだけではなく、与えられた贈り物を分かち合って奉仕するものなのです。

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「いつもあなたと共にいる」

福音朗読は  Laudate | 教会カレンダー (マタイ28章16~20節)

   私たちは、宗教は死後の世界で受け入れられるための役割のみを果たすと考えがちです。従って、宗教のことを考えることなく日々を過ごしている人は少なくありません。しかし、思いがけない出来事が起こると、慌てて教会や神社、そしてお寺などに飛び込んでいくのです。

    イエス様は「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」と宣言されました。これは死後の約束ではなく、「いま」「ここ」で実現し始まるのです。「いつも」という表現は、ある瞬間だけではなく、この地上に暮らしている間、共に存在することを意味します。そして、「世の終わりまで」ということばは、信仰し始める時から死を迎える時まで、絶え間なくつながっているというキリスト教の宗教観を表しています。

   イエス様は「いま」「ここ」で私たちに心を配られ、共にいらっしゃり、友となって人生の歩みに付き添ってくださるのです。

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世界広報の日にあたり

   「他者に対して先入観を抱かずに、出会いの文化を育むことにより、確かな信頼をもって現実に目を向けられるよう助ける、建設的なコミュニケーションをわたしは皆さんに強く勧めます。

     したがってわたしは、建設的で開かれたコミュニケーション手段の追求に貢献したいと思います。それは悪に主役を与えるのではなく、情報を受けた人々が積極的で責任ある行動を起こせるよう促しながら、実現可能な解決策を示すために尽くすコミュニケーション手段です。わたしは「良い知らせ」の論理に基づく情報を現代の人々に伝えるよう皆さんに求めます。

   人生は出来事が整然と連ねられた単なる年代記ではなく、語られることを待ち望む一つの歴史です。それを語る際には、もっとも重要なものを選んで集めることのできる、解釈の鍵となるものを選ぶ必要があります。現実そのものの意味はただ一つではありません。すべてのものが、どのように物事を見るかによって、すなわち物事を見る際に用いる「レンズ」によって変わります。そのレンズを変えれば、現実も違って見えます。」

2017年、第51回「世界広報の日」教皇メッセージ、

 全文はhttps://www.cbcj.catholic.jp/2017/04/11/13705/

 

みなさんは現実を読み解くために、どんなレンズを使っていますか。

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道であるキリスト

福音朗読は Laudate | 教会カレンダー  (ヨハネ 14章1-12節)

   イエス様は「私は道である」と宣言されました。そして、使徒言行録によると、初代教会の人たちは「道に従う者」という名称を与えられ、「弟子たちが初めてキリスト者と呼ばれるようになったのである」と書かれています(使11章26節)。キリスト者は、キリストに従う者であり、キリストの道を歩んでいくという意味です。    

  「道」というイメージから、動きと過程の進行を思い浮かべることができます。歩みを進める上で、山もあり谷もあり、波風も立ち、また出発点と目的地の間にある空間と距離などもあるでしょう。キリスト教を信仰することは、理性をもってその教義に同意するより、まずその精神に心を打たれて、実践するように促されて、体を動かすことが大切です。つまり、信仰するにあたり、心も体も積極的に関わるようにすることなのです。 

  イエス様が「心を尽くし、精神をつくし、力を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい、また隣人を自分のように愛しなさい」と、この宣言を通して聖書の教えと精神をまとまめられたのです。

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豊かな命と救い 

福音朗読は Laudate | 教会カレンダー  ヨハネ10章1~10節)

 

  「救い」という表現は、狭義では死にそうな状態から救助されるという意味ですが、広義では命が開花すること、しかも豊かになるという肯定的な見方があります。この視点から見ると、救いは豊かな命を意味し、この地上にいる間の贈り物であり、信仰生活の支えと捉えることができます。「私が来たのは、羊が命をうけるため、しかも、豊かにうけるためである」(10節)とあるように、命をさらに豊かに与えるというイエスさまのことばに現れています。

 

  ヨハネ福音書において、「命を得る」という表現は信じることとつながっています。最初は「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。」(316節)と書かれており、最後には「これらのことが書かれたのは、あなたがたが、イエスは神の子メシアであると信じるためであり、また、信じてイエスの名により命を受けるためである。」(2031節)とあります。従って、神様がわたしたちのために望まれる幸せと豊かな命を信じ、味わい、実感する時、救いの体験と言えるのです。 

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悲しみの天使 

福音朗読は Laudate | 教会カレンダー

   わたしたちは、悲しみといえば、すぐになくなった人に関わる悲しみを思い浮かべます。それは、おそらく、人生の中で最も深刻な悲しみでしょう。悲しむことにおいて、わたしたちは意識的に、人の死はわたしたちの人生にももたらした喪失を向き合っていきます。わたしたちはその人と自分の関係をもう一度じっくり見つめ直します。わたしたちはその人と経験したすべてのこと、その人がわたしたちにとってどういう存在であったかということ、その人がわたしたちに与えてくれたことを思い起こします。何度も何度も、人間関係が壊れていくのを、人生が崩れていき、しゃがみこんでしまうことを経験しています。それで失望し、幻滅してしまいます。  

   悲しみの天使はあなたを悲しみから守れることができません。しかし、あなたは一人でその痛みを担っていくわけではありません。悲しみの天使があなたと一緒にいて、痛みと新しいいのちの力へと変えてくれるでしょう。おそらく悲しみの天使はあなたにある人を遣わすでしょう。その人は、あなたの悲しみの中であなたのそばにいて、理解し、あなたと共に感じ、そして何があなたの中で新しい可能性として始まろうとしているのかに気づかせてくれるでしょう。

 

            A.・グリユーン、「50の天使。1年の歩みのために」、

             キリスト新聞社、2007、109-112ページからの抜粋。

 

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