一息の省察

   この世に生まれた瞬間から息を引き取るまで、私たちは絶え間なく呼吸しながら生きています。呼吸するのは人間にとってごく普通のことですが、より深い意味も含まれているように思われます。

   吸うことから考えてみましょう。空気は外から鼻と口を通して、体に入ってきます。創世記2章7節には、神はご自分の息を人間の鼻に吹き込まれ、いのちをお与えになったと記されています。いのちは最初に神から出て、人間の中で育っていくのです。どうして神がわたしたちに命をあたえてくださったのでしょうか。それは神がわたしたちを愛しているからです。それによって、私たちの中で愛する能力が育っていきます。 

   吐くことについて考えましょう。私たちは、空気をひたすら吸い続け、吸った息を体内に留めておかず、外に吐き出します。愛の場合にも言えるでしょう。私たちは先に愛されて、その愛を自分の中にもったままにせずに、自分から人に愛を注ぐようになります。

   日本語では、「息」と「生きる」は同じ「イキ」という音ですから、どんなに忙しくても、毎日必ず呼吸しているように、毎日少なくとも一回一息の省察をしてはどうでしょうか。

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