様々な解釈

福音朗読は Laudate | 教会カレンダー  (ヨハネ4章5-42節)

   本日の福音箇所にある「五人の夫」(18節)の表現には、サマリアの女が象徴している歴史的な背景を読みとることができます。紀元前8世紀にアッシリアによって北王国が滅ぼされた時に、隣国の人々はサマリア地方に神々の偶像を持ち込みました。そして、その地方に残ったイスラエル人は隣国の民と交わり、偶像を礼拝するようになり、イスラエルの宗教は正統性を失っていきました。また、紀元前4世紀には、サマリア人エルサレムの神殿に対抗して別の山に神殿を建て、イエス様の時代にもその山で礼拝を行っています(20節参照。

   福音書に登場する女のかつての五人の夫は、異邦人の五つの神々を象徴しています(列王記下17章29-31節)。また、「今連れ添っているのは夫ではない」という表現は、サマリア人が正しい神への礼拝を行っていないことを象徴しています。過去の「五人の夫」と現在の「連れ添っている人」(18節参照)を合わせると「六」になります。「六」は、聖書において「未完成」という意味です。一方、この場面では、サマリアの女はイエス様に出会っています。この出会いは、キリストと呼ばれるメシアの到来を表しています(25-26節参照)。イエス様は「七人目」の夫となります。「七」という記号は「完成」という意味なのです。

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