創世記を読み直す ー 聖書週間に当たって(1)

     聖書の一番初めの物語である創世記は、天地が創られたというより、その当時の人々にとっての苦しみがいつ始まったかということに関心があったようです。歴史的な背景として、紀元前6世紀から8世紀にかけて、祖国を奪われ隣国の支配下に置かれます。そして、神殿も破壊され、異国の地に連れられて行くのです。この悲惨さを経験している民に対して、創世記は苦しみの中に置かれた民に、希望をあたえる物語なのです。

         創世記1章から11章までの主なテーマは、人類が経験する苦しみの由来を説明しています。3章からアダムとイブの過ちや人類最初の殺人とされるカインとアベルの物語、そして広まった悪を一掃する洪水、さらにはバベルの塔の物語へと展開していきます。それらの物語の前に置かれている1章と2章を見てみましょう。1章1節にある「はじめに」ということばは、「元々、悪は存在しなかった。まず、神はすべてを美しく輝かしく創ったのだ。」ということを思い起こさせる希望のメッセージがあります。

     創世記は、罪と悪のなぞを解明しようという意図で編集されています。天地の構造を説明するのではなく、天国への道を示しているのです。

画像ー ローマシスティナ礼拝堂、ミケランジェロによるアダムの創造

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