人間になる

   古代ギリシアの神託所の入り口に「汝自身を知れ」と書き記された命令がありました。昔も今も人間となるための重大な条件です。何が私たちを動かしているのかをしっかりと見極めることで、言い換えれば自己認識のことです。「あなた自身を愛しなさい」ということは自己陶酔ではなく、自分自身に同意するようにという意味です。わたしは自分自身を愛することによって、わたしが存在するままの姿に作られた神を愛します。

    自分自身をまじめに考える人は、偉そうに振る舞う人のように自分を大きく見せるか、もしくは自分自身を軽視し自分を実際よりも小さく見せます。あなた自身を愛するということは、あるがままの自分自身を愛するということを意味します。あなたは、神があなたに思い描いたようなあなたになることができ、神があなたを召されているものにすることも出来るのです。

     レオ1世(ローマ教皇、在位:紀元440年- 461年)はあるクリスマス説教において次のように表現しました「キリスト者よ、あなたの尊厳を知ってください!あなたは神の本質の恩恵にあずかっています」

 

グリューン、「クリスマスの黙想―新しい始まりを祝う」、キリスト新聞社、85~86 参照。

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