「知ってるつもりキリスト教」①  聖書:古くて新しい本

    聖書は、見た目は一冊の厚い本ですが、複数の書物がまとめられたものです。当然、一晩で書かれたものではありません。原文では「βιβλία」「諸書」という意味で、ユダヤ教キリスト教聖典です。聖書を読むつもりなら、一番初めの『創世記』からではなく、興味のあるところや調べたいところから読むのをおすすめします。キリストについて学びたいのなら、まず福音書から読んでみると良いでしょう。  

   複数の著者によって紀元前2000年から紀元90年の間に書かれ、イスラエルパレスティナ、そしてエジプトなどのごく限られた地域が舞台となっています。そのため、聖書には時代的にも地理的にも限定的であることを認めなければいけません。ただ、人間の生と死、罪、宇宙の成り立ちなど、どの時代の人でも一度は真剣に考えるようなことを、当時の人なりに信仰に基づいて考察し、後世に伝えるために記しているのです。

    そこで、聖書に書かれた内容の不思議さに目を奪われるのではなく、その不思議な記述を通して著者は何を伝えようとしているのかを読み取る必要があります。そうした時に、はるか昔に書かれたものであっても、現代のわたしたちの心に何か訴えてくるものを感じ取ることができるのではないでしょうか。

宮越俊光著『早わかりキリスト教』(日本実業出版社、2005年)参照

***写真はロペス神父(聖ザべリオ宣教会会員)の提供です。

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