聖書に登場するシンボル」『動物』 蛇

 

   昔から蛇はあらゆる動物の中で、一番気味の悪いものと思われています。穴や草むらの中からぬるっと出てくる姿は、あたかも黄泉(よみ)から現れてきたかのようです。表皮が古くなると表皮全体を裏返して脱皮するため、蛇は「復活と癒し」のシンボルでもあるのです。この意味から、今日まで蛇は医学のシンボルとなって、ヨーロッパの薬局の看板にかかっています。

    蛇は聖書の中で大きな役割を果たしています。創世記3・1で「主なる神が造られた野の生き物のうちで、最も賢いのは蛇であった」とあります。民数記21・4~9の中で荒れ野の苦しみに耐え切れなくなったイスラエルの民は、神とモーセに逆らってこう言いました「荒れ野で死なせるためですか。こんな粗末な食物では、気力もうせてしまいます」。すると神は、民に向かって炎の蛇を送られた。炎の蛇は民をかんで、イスラエルの民の中から多くの死者が出たので、民はモーセのもとに来て、非難したことを反省し、「主に祈って、私たちから蛇を取り除いてください」と頼みます。神の仰せに従って、モーセは青銅の蛇を造り、それを旗竿の先に掲げました。それから民は蛇にかまれても、青銅の蛇を仰げば命が助かりました。イエスご自身もニコデモにこう語っています「モーセが荒れ野で蛇を上げたように、人の子も上げられなければならない。それは信じる人が皆、人の子によって永遠の生命を得るためである」(ヨハネ3.14-15)。聖書の中で善と悪のシンボルであった蛇は結局「善と悪の両方」のシンボルであります。

 M.クリスチャン 『聖書のシンボル50』オリエンス宗教研究所 参照。
***写真は高木淳さんの提供。アルバムのリンク先 ->

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