聖書に登場するシンボル『動物』 魚

   すでに旧約聖書において人間は海にすむ魚にたとえられています(コヘレト9.12、ハバクク1・14)。新約聖書でも、魚は人間を表します。イエスは弟子たちに、「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしよう」と言われた(マタイ4・19)。また、五つのパンと二匹の魚が増大して五千人の人を食べさせたエピソード(マルコ6・35‐44)は聖体の先駆的な手本です。復活したイエスはティベリアス湖畔で(ヨハネ21・3‐13)夜通し漁をしたため、疲れ果てた弟子たちに大きな漁を下さり、網には153匹の大きな魚がかかっています。この数を解釈するにあたって、それは当時の博物学者たちに知られていた魚の種類の数であると考えました。それが教会という網にかかるすべての人間を比喩的に表しているというわけです。

    魚を表すギリシャ語(新約聖書は書かれた言語)の「イクテュス」(ἰχθύς)の文字の配列によって新たに注目を浴びました。ギリシャ語で「イエス」()、「キリスト」(χ)、「神の」(θ)、「子」(ύ)、「救世主」(ς)という言葉の頭文字をつなぎ合わせると「ἰχθύςとなり、そこから「イエス・キリスト、神の子、救世主」と考えられました。迫害の時代には、キリスト教徒たちは魚のしるしを通して互いに信仰の告白を認識し合ったのです。

 M.クリスチャン 『聖書のシンボル50』オリエンス宗教研究所 参照。
***写真は高木淳さんの提供。アルバムのリンク先 

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