聖書に登場するシンボル 「油」

   地中海を囲む国々はオリーブの木が多いところです。オリーブの木の実からはオリーブ油が採れ、いろいろと利用しています。あの国々の人たちにとって、オリーブ油は神の大きな恵みに思えたでしょう。「ぶどう酒は人の心を喜ばせ、油は顔を輝かせ/パンは人の心を支える」と詩編104・15に書かれてあります。

    オリーブ油は生命の豊かさと充実のシンボルでした。さらにオリーブ油に香料を入れて、香油を作っていました。香水のように用いられ、客に対する最高の歓迎のしるしとして、その頭に香油を塗る習慣がありました(マルコ14・3~9)。

    オリーブ油と香油は、宗教の儀式にも使われるようになりました。司祭、王、預言者の任命式には、香油(聖香油)を体全体に塗りました。これから成し遂げる大切な使命の準備として、彼らの体と心を強める儀式でした。聖香油が体全体にしみ通るように、神の力が豊かに彼らの上にくださるようにと願う式でした。油を注がれた方を、ヘブライ語で「メシア」と呼び、ギリシャ語では「キリスト」と訳されました。

    新約聖書ではナザレのイエスがそのキリストであるとされています。そのためキリストを信じる者が、「キリスト者」(油を注がれた者)と呼ばれているのです。事実、洗礼と堅信の時に、わたしたちは聖香油を塗られています。また、病気の時に病者の塗油の秘跡を受けられます。司祭と司教の叙階式にも油が使われます。

マンフレート(著)/池田 紘一(訳)『聖書象徴辞典』人文書院 参照。***写真はオリーブ山で、高木淳司さんの提供。アルバムのリンク先 

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