存在を生み出す不在 

   病気の人や死の床にある人、閉じこもったままの人、障がいを持った人や孤独な人を訪ねるのはよいことです。同時に、少ししかいられない、あるいはたまにしか行かれないからといって、後ろめたく思わないことも重要です。 わたしたち自分の限界について言い訳しがちで、そのため人を訪ねる時、言い訳ばかりが先に立ってしまい、その人と心から一緒にいることができなくなってしまいます。短時間でも、病気の人のそばに心か一緒にいることのほうが、忙しすぎて、たびたびくることができないと長い時間説明するよりも、遥かによいでしょう。 

   もし、その友だちのそばに本当にいることが出来たら、わたしたちが去ったあと、多くの実りがもたらせます。友人たちは「彼が来てくれた」とか「彼女が来てくれた」と言って、わたしたちがいるという消え去ることのない恵みを見出すでしょう。

 

H.ナウエン、「今日のパン、明日の糧」、聖公会出版、2003年、111項。

f:id:nipponblog:20170623172933j:plain