「知ってるつもりキリスト教」④ 四福音書の特徴

マタイ福音書

      パレスティナ周辺もしくはシリアで、紀元80年代に成立したとされます。著者は十二使徒の一人であるマタイとする伝承があります。ユダヤ教からキリスト教に改宗したユダヤ人共同体の中でまとめられたため、ユダヤ教の流れをくむ用語や表現が多く用いられているのが特徴です。

 

 マルコ福音書

     福音書の中では最も古く、紀元70年代に成立し、著者は「マルコと呼ばれるヨハネ」(使徒言行録12・12)とされますが、詳しいことは不明です。当時残されていた様々な口伝による資料を著者が編集してまとめたとされ、四福音書の中で最も簡潔にまとめられています。

 

 ルカ福音書 

      パウロの同行者で医者であったルカ(コロサイ4・14)が著者とされます。「テオフィ口」という人物に献呈された二つの文書の前編で、後編は「使徒言行録」と呼ばれています。イエスの誕生や復活にまつわる箇所では、他の福音書にはない独自の資料に基づく内容が収められています。

 

ヨハネ福音書

    イエス十二使徒の一人ヨハネが著者とされてきましたが、実際の著者は不明です。紀元90年代のパレスティナまたはシリアで成立したとされます。他の三福音書にはない記述が多く、こちらも独自に入手した伝承に基づいて編集されたと考えられています。イエスが誰であるのかを明らかにしようとする意図があるのも大きな特徴です。

  宮越俊光著 『早わかりキリスト教』(日本実業出版社、2005年)参照。

***写真はロペス神父(聖ザべリオ宣教会会員)の提供。

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