「知ってるつもりキリスト教」㉗ 教会一致推進運動(エキユメニズム運動)

     2000年に及ぶキリスト教の歴史の中で、不幸な出来事がいくつか生じており、その一つにキリスト教内部の分裂や対立があります。キリスト教徒はキリストを主と宣言し、キリストに対する信仰を保ち、同じ聖書を信仰のよりどころとしているはずなのに、現状は非常に多くの教派に分かれてしまっているのです。

     21世紀になり、教会は対立ではなく対話の精神で各教派が互いを理解し、一致を実現しようとする道をようやく歩み始めました。この動きをエキュメニズム運動(教会一致推進運動)と呼んでいます。特に、1948年に成立した世界教会協議会(WCC)や第二バチカン公会議(1962-65年)などが、各教派の一致への歩みを推進する力となってきました。

      現在のエキュメニズム運動の根底にある精神は、「対話」です。かつては互いに排斥し合っていた時代もありましたが、現在はそれぞれの教派がお互いの立場を尊重し、同じ主キリストを信じる者として交流しようと努めています。例えば、毎年1月18日から25日を「キリスト教一致祈祷週問」として、各教派が一致のためにともに祈りをささげることにしています。そして、来月には三回目となる共同での聖書翻訳の集大成である『聖書 聖書協会共同訳』が出版されるのです。

 宮越俊光著 『早わかりキリスト教』(日本実業出版社、2005年)参照。

***写真は高木淳さんの提供。

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