「知ってるつもりキリスト教」⑯ 復活をどのように理解するか

   イエスの復活を理解するためには、当時のユダヤ人が信じていた死者の復活について知っておく必要があります。亡くなった人は、死者の国に下って終末の時までそこにとどまっています。そして、世の終わりが訪れると、神によって世界の秩序は正しくされ、すべての死者は裁かれ、誠実な信者を報いとして復活させられます。圧政に苦しみ、強国の支配下に置かれていた人々にとって、終末の時の復活こそが心のよりどころとなりました。神への信仰を失わずにいた者は、終わりの日の裁きの時に神によって復活させられ、神の国に迎えいれられるという希望によって支えられていたのです。

     イエスが復活した場面そのものは福音書に描かれていませんが、イエスの葬られた墓が空であったことは四つの福音書に共通しています。当然、墓が空であったことがイエスの復活を証明するとは言えません。福音書が復活への信仰を土台に書かれていることを考えれば、信仰を持つ者にとって空の墓はイエスの復活のしるしとなっているのです。

 宮越俊光著 『早わかりキリスト教』(日本実業出版社、2005年)参照。

***写真はロペス神父(聖ザべリオ宣教会会員)の提供。

 

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