人生の夏バテ (列王記上 19章4~8節)

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   エリヤは聖書の有名な人物であり預言者の代表です。彼は奇跡を行い、パンも増やしました(列王記上17章参照)。しかし、本日の朗読箇所に出て来るエリヤには、まるで別人のような強い印象を受けるのではないでしょうか。この偉大な人物は、自分の命が絶えるのを願ったほど、人生のどん底にいると感じ、「主よ、もう十分です。わたしの命を取ってください。わたしは先祖にまさる者ではありません。」と宣言したのです。

     誰にでもエリヤのような経験があると思います。私たちも何らかの原因で、落ち込んでしまうことがあるのではないでしょうか。問題ない時もあるし、力が出ない時もあります。ある物事に熱中する時もあれば、疲労困ばい状態の時もあるでしょう。夏バテのため、やる気が出ず食欲も無くなるように、人生にも夏バテがあります。「もう駄目だ」と生きることが嫌になるほど絶望を感じるのは、人間である以上誰もが通る人生の波の1つなのです。

   ここで、フランスの哲学者ブレーズ・パスカル*の言葉を紹介したいと思います。「人間の偉大さは、人間が自分の惨めなことを知っているからだ。樹木は自分の惨めなことを知らない。」

 *1623年~1662年。フランスの哲学者・数学者・物理学者。大気圧・液体圧や円錐曲線論。著書は『パンセ』(1670) など。台風のヘクトパスカルという単位は、パスカルから由来する。

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