聖書に登場するシンボル『動物』 豚

     ユダヤ教では「けがれ」を大変に嫌います。そのけがれの中には、罪の結果がもたらした道徳的なけがればかりではなく、衛生的なけがれも含まれています。たとえば、ある動物はけがれたものだから、その肉を食べてはならないといった具合です。ユダヤ教の社会では、異邦人もまたけがれたものと見なし、彼らとの交際を避けなければなりませんでした。

     旧約聖書レビ記にはけがれについての多くの規定がこと細かく書いてあります。中でも豚が一番けがれた動物として扱われています(レビ記11・7)今でもユダヤ人と、その伝統を受け継いだイスラム教徒は、絶対に豚肉を食べません。

      新約聖書の中にも豚の話はたびたび出てきます。ルカ15・15には父親から分けてもらった財産を放蕩の限りを尽くして使い果たし、明日の食べ物にも事欠いた息子が身を寄せた先では「彼を畑にやって豚の世話をさせた」とあります。息子が困窮の極みでありつけた仕事が、けがれた豚の飼育だったのです。マタイ8・31では、人に入っていた悪魔たちがイエスのところにやってきて「我々を追い出すのなら、あの豚の中にやってくれ」と、はるかかなたで餌をあさっている多くの豚の群れを指しました。豚は悪魔と同じぐらいけがれたものと見なされていたことが分かります。

 M.クリスチャン 『聖書のシンボル50』オリエンス宗教研究所 参照。
***写真は高木淳さんの提供。アルバムのリンク先 ->

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