聖書に登場するシンボル 「パン」

      植物学者によると、麦はパレスチナイスラエル)原産の植物だそうです。当然、イエスの生まれ育った国の主食はパンでした。当時のパンは薄くて丸い形でした。インド料理のレストランで供されるナンというものに似ています。聖書の中で、パンは人間の物質的な要求を表し、主の祈りは「わたしたちの日ごとの糧をお与えください」となっています。

      イエスの時代に家族が一緒に食事をする場合、まずお父さんがパンを取り、祈りを唱えてそれを割き、みんなに配りました。イエスも弟子たちと一緒に、何回も同じことをなさり、最後の食事の時がきました。イエスはパンを取り、それを祝福し、割いてみんなに与え、「これはあなた方のために渡される、わたしの体である」とおっしゃり、これでパンは「イエスの体」になりました。初代教会では、ミサを「パンを割くこと」と名付けました。

      カトリックではミサで使われているホスチア(薄いせんべい)は聖別によって「キリストの体」と変容されて、「聖体の秘跡」と呼ばれています。聖体のパンは物質的食べ物でありながら、霊的な糧でもあるのです。この聖体のパンは、キリスト信者の主食になりました。ヨハネ福音書6・57にイエスは「わたしを食べる者もわたしによって生きる」とおっしゃったように、キリスト者も少しずつイエスの生き方を自分のものにするのである。

 M.クリスチャン 『聖書のシンボル50』オリエンス宗教研究所 参照。
***写真は高木淳さんの提供。アルバムのリンク先 

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