イエスはこう話し終えると、心を騒がせ、断言された。「はっきり言っておく。あなたがたのうちの一人がわたしを裏切ろうとしている。（ヨハネ13・21）
原文のギリシャ語で書かれた、このイエスの言葉を読めば読むほど、「あなた方の一人が、わたしを引き渡そうとしている」と訳した方がよいように思えます。イエスを何とかしたいと待ち構えていた人々に引き渡された瞬間は、イエスの働きの転換点です。それは、活動から受難への転換です。物事はもはや自分がするものではなく、他人が自分にするものになりました。イエスがご自分の使命を、自分がなしたことによってではなく、自分になされたことによって成就なさったことに気づくことは、わたしにとって重要です。
他の誰もがそうであるように、わたしの人生のほとんどは、自分になされたことによって決定付けられました。ものごとが自分に対してなされるので、わたしは何を考え、何を言い、何をするかで決定できることは、わずかしかありません。しかし、わたしの人生は、自分のとる行動よりはるかに大きな部分を受難が占めているのが真実です。この事実を認めないことは、自分を欺くことであり、愛をもってそれを迎え入れないのは、自分を拒否することです。 「明日への道」H. ナウエン
写真は高木淳司さんの提供で、「阿蘇 産山村 池山水源」 アルバム
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