「福音書を読み、イエスに親しむ」⑨ さらにありえた展開 

エスが旅に出ようとされると、ある人が走り寄って、ひざまずいて尋ねた。「善い先生、永遠の命を受け継ぐには、何をすればよいでしょうか。」 イエスは彼を見つめ、慈しんで言われた。「あなたに欠けているものが一つある。行って持っている物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」その人はこの言葉に気を落とし、悲しみながら立ち去った。たくさんの財産を持っていたからである。(マルコ10・17、21-22

 この若者の物語は、「何でも持っている」から「何も持たない」ことへの大きな跳躍を差すのではなく、愛に向かっての小さな一歩一歩を刻む、一連の長いプロセスを指します。この裕福な若者の悲劇は、財産を捨てないことではありません。若者にとって真の悲劇は、彼とイエスが共に心から欲していたものを失ったことです。それは、深い親密な関係を築く機会です。それは、手離すというより、全面的に信頼し、愛の声に従えるかどうかというとです。捨てることは、さらに素晴らしいものへと愛着の結果にすぎません。愛の声に従うこと、しかも一歩ずつ歩みながら、必要なすべては与えられると信頼すること、それは実に大きなチャレンジです。「平和への道」H.ナウエン

写真は高木淳司さんの提供で、「立神峡(たてがみきょう)」アルバムから

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