イエスの心に触れる  ⑧ 「悪からお救い下さい」

   天におられるわたしたちの父よ、み名が聖とされますように。み国が来ますように。みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。わたしたちの日ごとの糧を今日も お与えください。わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします。わたしたちを誘惑におちいらせず、悪からお救いください。

 

  「悪からお救いください」という願いによって、わたしたちは、何から解放されることを望んでいるのでしょうか。たしかに病気は悪であり、同様に事故、不幸、飢え、貧困、家のない状態、失業も悪といえるでしょう。現実には、もっと恐ろしい破壊的な悪が存在します。その悪は、あるグループ、ある民族、ある社会を巻き込む集団的な過ちによって構成されています。その集団的な過ちとは、人種差別、民族紛争であり、また奴隷制と社会的不正と拷問とによって人を押しつぶす働きなどのことです。それは、間違った行いが、社会規範の一部を構成しているだけでなく、理論、イデオロギーによって適法とされているときに、観察される邪悪さです。この場合には、悪は「善」とすら呼ばれ、闇が「光」と呼ばれることもあります。まさにこうした逸脱状況は、構造的罪だと言われている。例えば、アウシュヴィッツ強制収容所で犯された巨大な悪を考えてみましょう。

拙著「日々の暮らしの中で」。 写真は高木淳司さんの提供で、「空と雲」 アルバム

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